― 深煎りコーヒーに合う一冊 ―
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』
TASTE / 本の味わい
- 霊視で得た答えを、論理で証明していく異色の捜査
- 心霊現象と本格推理が噛み合う、緻密な構成
- それまでの読み方を終盤で問い直される仕掛け
RECOMMEND / こんな時におすすめ
- 霊能力と論理推理を組み合わせたミステリーを楽しみたい時
- 複数の事件が大きな謎へつながっていく構成を追いたい時
- ネタバレを避けながら、思いきり驚ける本格ミステリーを選びたい時
推理作家の香月史郎は、死者の言葉を聞くことができる霊媒・城塚翡翠と出会います。翡翠の霊視は事件の答えに近づけても、そのままでは警察を動かす証拠になりません。そこで香月が、現場に残された手掛かりから、誰にでも説明できる論理へ組み立て直していきます。
「犯人は分かっているのに、証明する方法がない」という二人の捜査が面白く、心霊現象と本格推理が互いの弱点を補うように事件を解いていきます。さらに終盤では、それまで自然に受け入れていた会話や描写が別の意味を持ち始め、読み手自身の思い込みまで仕掛けの一部だったことに気づかされます。
読み終えた後も、どの場面から見落としていたのか気になり、思わず最初のページへ戻って確かめてしまいました。濃い深煎りコーヒーをそばに置いて、言葉の置かれ方を一つずつ拾い直しながら、もう一度味わいたいミステリーです。